マイクロニードル
マイクロニードル技術について
深化を続ける次世代TTS
マイクロニードルは、長さ数百ミクロンの微細な針で、皮膚から薬剤や有効成分を吸収させる技術。薬剤を皮膚に塗布するより、効率的で多量の成分を送達させることが可能です。医療・医薬領域では、痛みがなく、簡便に薬剤を体内に吸収させる「注射に代わる薬剤投与技術」として、ワクチン投与などへの応用が期待されています。
コスメディ製薬は、ヒアルロン酸やコラーゲンなど「皮膚に含まれる成分」でできた針が皮膚内で溶ける「溶解型マイクロニードル」の実用化に世界で初めて※1成功。マイクロニードル技術において、想像を超えるイノベーションを起こし続けています。

分類から見るマイクロニードル技術
用途 | 種類から見る | 使用形態から見る | 主材料から見る |
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医療用 | 溶解型 〉 | 貼る 〉 | ヒアルロン酸 〉 |
塗る 〉 | タウリン 〉 | ||
非溶解型 〉 | 貼る 〉 | PGA、PLA、PP 〉 | |
美容用 | 溶解型 〉 | 貼る 〉 | ヒアルロン酸 〉 |
三重らせんコラーゲン 〉 | |||
塗る 〉 | タウリン 〉 |
溶解型マイクロニードル
ヒアルロン酸やコラーゲンなど皮膚に含まれる水溶性高分子成分をマイクロニードルの基材とし、皮膚に貼付するとニードルが直接皮膚の内部に入り、溶解するマイクロニードル。薬剤を皮膚に塗布するよりも、はるかに効率的かつ多量成分を送達することが可能になりました。
溶解型マイクロニードルは、コスメディ製薬が世界で初めて※1工業的製法を確立。安全性や簡便性からも「注射に代わる新技術」として、医療・医薬領域、美容・健康領域での応用が注目されています。
溶解型マイクロニードルというイノベーション
かつて米国などで研究されていた金属やシリコン製のマイクロニードルは、痛みや出血、皮膚内の針の残存など、安全性に課題があり、実用化には程遠い存在でした。
コスメディ製薬は、より安全性の高い技術を追求し、ヒアルロン酸やコラーゲンなど「皮膚に含まれる成分そのものを針にする」という斬新な発想で、皮膚内で針が溶ける「溶解型マイクロニードル」を開発。TTS(経皮吸収治療)分野にイノベーションを起こしました。
この技術を医薬品よりも短期間で製品開発できる化粧品へと応用し、2008年に世界で初めて※1工業的製法を確立。高分子成分を角質層まで届ける高度なセルフケアを可能にし、美容・健康領域で「マイクロニードル化粧品」という市場を創造しました。
医療用

仕様 | 目的に応じて 長さ300~800μmで設計 |
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開発例 | 偏頭痛治療薬/発毛剤/ワクチン/徐放性製剤 など |
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美容用

仕様 | 目的に応じて 長さ150μm、200μm、300μmで設計 |
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開発例 | 目もと用/口もと用/くちびる用/シミ・シワ用対策/育毛剤など |
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非溶解型マイクロニードル
医療機器実績のあるポリグリコール酸(PGA)やポリ乳酸菌(PLA)などの生分解性ポリマーや、ポリプロピレン(PP)を基材とした針の先端に、薬剤を塗布するマイクロニードル。高価かつ微量投与の薬物やワクチンに活用できます。

仕様 | 目的に応じて 長さ300~900μmで設計 |
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開発例 | インフルエンザワクチン/C型肝炎治療薬/糖尿病治療薬/骨粗鬆症治療薬 などの新薬 、歯科麻酔用医療機器など |
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独自設計・独自技術
コスメディ製薬は、マイクロニードル技術のさらなる機能向上、使いやすさ、用途の拡大などを追求し、独自の設計や技術を開発してきました。
私たちの技術の高さとオリジナリティは高く評価され、世界的デザイン賞の受賞や、数多くの特許を取得しています。
富士山ニードル
医療用
美容用
溶解型
貼る
ヒアルロン酸
溶解型マイクロニードルの機能を最大限に高めるために行き着いた、独自のマイクロニードル設計。富士山のようなコニーデ型の形状から「富士山ニードル」と名付けられました。2023年には、世界三大デザイン賞の一つである「iFデザインアワード」を受賞し、設計の有用性が国際的に認められています。


コラーゲンマイクロニードル
美容用
溶解型
貼る
三重らせんコラーゲン
三重らせん構造のコラーゲンとヒアルロン酸を共存させたマイクロニードル技術。肌にハリや弾力を与えるコラーゲンの三重らせん構造は非常に不安定で、分子量が大きく、皮膚への浸透に課題がありました。また、コラーゲンの分解を抑制するヒアルロン酸との相溶性が悪く、共存させることが困難でした。
コスメディ製薬は独自の研究開発技術により、2023年に三重らせんコラーゲンとヒアルロン酸を共存させたマイクロニードル製剤の作製に成功(特許取得済)。エイジングケア※2の新たなアプローチを可能にする、化粧品に応用しました。保湿効果などの持続性も検証されています。

タウリン結晶マイクロニードル
医療用
美容用
溶解型
塗る
タウリン
皮膚に存在するアミノ酸の一種であるタウリンを、微細な針状に結晶化し、さらに多重結晶化技術で高分子成分を針に内包させた、世界初※3の溶解型マイクロニードル成形技術。
これまでの溶解型マイクロニードルは、パッチ型の「貼る」タイプで、部分ケアが主でしたが、タウリン結晶マイクロニードルは液剤やクリームに配合し、「塗る」タイプとして顔全体などの広い部位のケアを可能にしました。タウリンを針状に結晶化する技術、高分子成分を針にカプセルのように内包する二つの技術は、いずれも特許を取得しています。
今後はこの技術をアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患治療に応用、医療・医薬領域での実用化を進めます。


マイクロニードル技術の未来
コスメディ製薬は、マイクロニードル技術を活用した「貼るワクチン」の実用化をめざして研究を進めています。
マイクロニードルパッチ型の次世代ワクチン製剤は、貼るだけでワクチンの自己投与が可能になり、医療従事者の負担を軽減。感染症パンデミックなどの大規模接種が求められる状況においても、運搬や保管もしやすく、医療アクセスが限られる地域において、大きな医療変革をもたらすと期待されています。
※1 公益社団法人 日本薬剤学会発行 学会誌「薬剤学」より
※2 年を重ねた肌にうるおいを与える
※3 特許第7327852号(特願2022-204969)